いのうえ行政書士事務所
 

 
国際法務


国際結婚

日本人同士の結婚ですと、市役所・区役所等に婚姻届(証人2人の署名・押印必要)を提出するだけで、婚姻が成立しますが、日本人と外国人、また外国人同士の国際結婚の場合、日本の法律だけでなく外国の法律が関係してきます。

■婚姻の実質的成立要件

実質的成立要件とは、婚姻を有効に成立させるために法律上求められている条件です。これは、各当事者について、その本国法によってこれを定めるとされています(法の適用に関する通則法24条1項)。

実質的成立要件には、片方の当事者だけが満たしておればよい一方的要件(婚姻適齢、父母の同意など)と、両方の当事者が満たしていなければならない双方的要件(重婚禁止、近親婚の禁止、再婚禁止期間など)があります。

日本の民法が定めている要件

(1)婚姻適齢

男性は満18歳、女性は満16歳にならなければ婚姻することができない(民法731条)。

(2)重婚禁止

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない(民法732条)。

(3)再婚禁止期間

女性は、前婚の解消又は取消の日から6ヶ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない(民法733条1項)。
前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない(民法733条2項)。

(4)近親婚の禁止

直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻することができない(民法734条1項。)
養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない(民法734条1項但書)。
特別養子と実父母及びその血族との間の婚姻は、離縁により親族関係が終了した後も禁止される(民法734条2項)。
直系姻族の間での婚姻はできない。姻族関係が終了した場合も同様である(民法735条)。
養親子関係者間(養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者と養親又はその直系尊属との間)の婚姻は禁止され、離縁後も禁止される(民法736条)。

(5)未成年者の婚姻

未成年者が婚姻をする場合には、父母の同意を得なければならない(民法737条1項)。
父母の一方が同意しないとき、行方不明であるとき、死亡したとき、意思表示できないときは、他の一方の同意だけで足りる(民法737条2項)。

上記は日本の民法ですが、さらに結婚当事者の国が定めている要件を満たさなければなりません。

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■婚姻の形式的成立要件

日本は、市区町村長に婚姻届を提出する「届出婚」ですが、教会や寺院での「宗教婚」、役所で儀式を行なう「儀式婚」など、婚姻の手続きは国により様々な方式があります。

日本での婚姻

婚姻の方式は婚姻挙行地の法律に依ります。(法の適用に関する通則法24条2項)
つまり、日本で婚姻する場合は、婚姻届を提出して日本の方式で婚姻することになります。

ただし、外国人同士が日本で結婚する場合は、当事者の一方の国の方式によっても有効(法の適用に関する通則法24条3項)です。しかし、日本人と外国人が日本で婚姻する場合は、常に日本の方式によらなければなりません(法の適用に関する通則法24条3項但書)。

外国での婚姻

婚姻の方式は婚姻挙行地の法律に依ることもでき(法の適用に関する通則法24条2項)、当事者の一方の本国法による婚姻も可能です(法の適用に関する通則法24条3項)。

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■実際の婚姻手続

日本人と外国人の結婚を例にしますと、

(1)日本で婚姻手続きをして相手国に報告的届出をする方法と、
(2)相手国で婚姻手続きをして日本に報告的届出をする方法があります。

国により(1)の方法では、婚姻が認められない(跛行婚となる)こともありますので、注意が必要です。

日本で婚姻が成立した場合、在日本の当該国領事館等へ報告的届けをする必要がありますし、外国で婚姻が成立した場合、婚姻成立の日から3ヶ月以内に、日本へ報告的届出をする必要があります。日本国在外領事館等で届出もできますし、本籍のある市区町村へ郵送でも手続きができます。

※国際結婚の手続きは国により、様々に異なってきます。

■結婚と在留資格

婚姻により「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」などの在留資格に新たに該当する場合は、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請などの申請を入国管理局にする場合があります。

在留資格がない場合の結婚

在留資格がなくても婚姻することは可能です。詳しくは、在留特別許可のページをご覧下さい。

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