いのうえ行政書士事務所
 

 
国際業務


国際離婚

■離婚の準拠法

夫婦の国籍、常居所の場所により、どの国の法律が適用されるかが変わってきます。(法の適用に関する通則法27・24条)

(1)夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人の場合 → 日本の法律

(例)日本に住む日本人と日本に住む外国人の夫婦の離婚。外国人の配偶者だけが本国へ帰ってしまっている場合など。

(2)夫婦の本国法が同一の場合 → その同一の本国法

(例)日本に住む韓国人同士の夫婦の離婚(韓国の法律が適用される)

(3)夫婦の共通の本国法がない場合、夫婦の居住地法が同一である場合 → その共通の常居住地法

(例)日本に住む中国人と韓国人夫婦の離婚(日本の法律が適用される)

(4)夫婦の共通の本国法も共通の常居地法もない場合 → 夫婦に最も密接な関係のある地の法律

(例)日本人と外国人が日本で婚姻後生活していたが、日本人が外国で住んでいる場合(日本の法律が適用される)

ご相談はこちらへ


■離婚と在留資格

日本人、永住者、日系人等との婚姻により、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」や「定住者」の在留資格で在留している場合、離婚により在留資格該当性を喪失することになります。ただし、離婚後も、在留期限までは日本に在留することができます。

日本人との間の実子を扶養する場合

(1)日本人の父の認知があり(強制認知、死後認知でもよい)、(2)当該外国人親がその子に対する親権を有する、(3)現実にその子を養育している場合、「定住者」への在留資格変更を認めています。

また、子供がいない、日本人が親権者になっているなどの上記に該当しない場合でも、「定住者」への変更が認められることもあります。

事業をする場合、「投資・経営」、専門的な職業に従事する場合、「人文知識・国際業務」、「技術」などへの在留資格に変更することも考えられます。

再婚禁止期間

再び日本人と再婚するような場合、女性には再婚禁止期間があります。日本の法律では6か月です。しかし、裁判による離婚の場合など再婚禁止期間が必要のない場合がありますので、ご相談下さい。

ご相談はこちらへ


■離婚の種類

協議離婚

日本の離婚の約90パーセントがこの方法です。お互いの離婚意思が合致し、離婚届(証人2人の署名・押印が必要)を提出することによって成立します。

夫婦に未成年の子がある場合は、話し合いでその一方を親権者と定め、離婚届に記載しなければなりません。

なお、役所に提出する必要はありませんが、話し合いの内容を離婚協議書として文章で残しておくことお薦めします。特に、慰謝料、養育費等の金銭の取り決めは公正証書にしておくほうが良いでしょう。

また、離婚届に署名押印してしまったが、その後離婚したくない場合など、本籍地の市区町村役場に不受理申出書を提出しておけば、離婚届は受理されません。不受理が不要になった場合、不受理申出期間中なら届出人が不受理申出取下書(6か月間有効、再度提出可能)を提出します。

調停離婚

離婚の約9パーセントを締めている方法です。夫婦間で離婚の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に離婚の家事調停の申し立てを行なうことができます。(調停前置主義といっていきなり裁判することは許されていません。)

調停では、第三者である調停委員会が当事者から話を聞き、当事者双方が納得した上で問題を解決できるように、助言やあっせんをします。 離婚の調停が成立したときは、離婚が成立します。

なお、相手が行方不明の場合、調停は不可能ですので、初めから家庭裁判所に裁判を起こすことになります。

審判離婚

家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができます。(家事審判法24条)

これを、「調停に代わる審判」、「24条審判」といいます。この審判は2週間以内に異議の申立があった時には、その効力を失います。 2週間以内に異議の申立がないときは、確定判決と同一の効力を有し、離婚が成立します。(家事審判法25条)

調停での双方の意見の乖離が大きいなどで、異議の申立が最初から予想される場合、審判は行なわれませんので、審判離婚は件数として、極めて少なくなっています。

裁判離婚

離婚全体の約1パーセントを占めています。協議離婚、調停、審判でも離婚に至らなかった場合、家庭裁判所に訴状を提出して裁判離婚を求めることになります。離婚を認める判決が確定した場合離婚が成立します。なお、判決を待たず和解により裁判を終了することもできます。裁判離婚では、法律に定める特別な「離婚原因」がない限り、離婚は認められません。(民法770条)

(1)配偶者に不貞な行為があったとき
(2)配偶者から悪意で遺棄された時とき
(3)配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

裁判所は(1)〜(4)の事由がある場合でも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

ご相談はこちらへ


<< 前ページへ | 国際業務トップへ | 次ページへ >>

 

(C)2005 いのうえ行政書士事務所 All rights reserved.